Excel VBAで複数ファイルを扱うための環境設定まとめ(保存形式・互換性)
生徒
「Excel VBAで、たくさんのExcelファイルをまとめて操作できるって聞いたんですが、本当ですか?」
先生
「はい。Excel VBAを使うと、複数のExcelファイルを自動で開いたり、保存したりできます。」
生徒
「でも、保存形式とか設定を間違えると動かないって聞いて不安です……」
先生
「大丈夫です。最初に環境設定のポイントを押さえれば、初心者でも安心して扱えますよ。」
Excel VBAで複数ファイルを扱うとはどういうことか
Excel VBAで複数ファイルを扱うとは、 一つのExcelファイルから、別のExcelファイルを開いたり、 中身を確認したり、保存したりすることです。
例えるなら、一冊のノートを見ながら、 机の上にある別のノートを順番にチェックしていくイメージです。 人が手で行う作業を、VBAが代わりにやってくれます。
このとき重要になるのが、 保存形式と互換性という考え方です。 ここを理解していないと、マクロが動かなくなる原因になります。
マクロ有効ブック(xlsm)の基本を理解しよう
Excel VBAを使う場合、 ファイルは必ずマクロ有効ブックとして保存します。 拡張子は「xlsm」です。
拡張子とは、ファイル名の最後につく種類を表す文字です。 「家の表札」のようなもので、 Excelが中身をどう扱うかを判断します。
もし「xlsx」で保存してしまうと、 VBAのコードは消えてしまいます。 複数ファイルを扱う前に、 操作の中心となるファイルは必ずxlsmで保存しましょう。
操作される側のExcelファイルの保存形式
VBAで操作される側のExcelファイルは、 必ずしもxlsmである必要はありません。 「xlsx」や「xls」でも問題ありません。
これは、VBAが「指示役」で、 他のExcelファイルが「作業される側」だからです。 作業される側は、普通のExcelファイルでも動きます。
ただし、古い形式の「xls」を使う場合は、 Excelのバージョンによっては互換性の注意が必要です。
Excelのバージョン違いによる互換性の考え方
互換性とは、 違う環境でも同じように動くかどうかという意味です。 Excelは、2010、2016、2019、365など、 いくつも種類があります。
VBAの基本的な機能は、 ほとんどのバージョンで共通しています。 そのため、初心者のうちは、 バージョン差を強く意識する必要はありません。
ただし、複数ファイルを扱う場合は、 新しすぎる機能を使わないことが安全です。 基本操作だけで構成すると、トラブルが減ります。
複数ファイル操作でよく使われる保存場所の考え方
複数のExcelファイルを扱うときは、 ファイルの保存場所がとても重要です。 保存場所とは、パソコンの中の置き場所です。
例えるなら、書類を別々の部屋に置くよりも、 同じ引き出しにまとめた方が探しやすいのと同じです。
VBA初心者は、 操作するExcelファイルを同じフォルダに入れることで、 エラーを防ぎやすくなります。
複数ファイルを扱う前に確認したいVBEの設定
VBEとは、VBAを書くための画面のことです。 ExcelでAltキーとF11キーを押すと開きます。
複数ファイルを扱う場合でも、 特別な設定は基本的に必要ありません。 初期状態のままで問題なく動きます。
ただし、参照設定をむやみに変更しないことが大切です。 初心者のうちは、触らないのが安全です。
複数ファイル操作でよくある失敗と環境面の注意
よくある失敗の一つが、 マクロを含むファイルをxlsxで保存してしまうことです。 これにより、VBAが消えてしまいます。
また、別のパソコンで開いたときに、 マクロが無効になっている場合もあります。 セキュリティ警告が出たら、 内容を確認して有効化します。
環境設定を正しく理解しておくことで、 複数ファイル操作は安心して行えるようになります。
まとめ
今回の記事では、Excel VBAを使用して複数のファイルを効率的に操作するための基本的な環境設定と、注意すべき保存形式、そして互換性について詳しく解説してきました。これまで一つのファイル内だけで完結していた作業も、複数のブックを連携させることで、業務の自動化の幅は劇的に広がります。しかし、その土台となる設定やファイル形式の理解が不足していると、思わぬエラーやデータの消失を招くリスクもあります。
重要なポイントの再確認
まず、マクロを記述するメインのファイルは、必ず「マクロ有効ブック(.xlsm)」形式で保存するというルールを徹底しましょう。一般的な「.xlsx」形式で保存してしまうと、せっかく書いたVBAコードが保存されずに消えてしまいます。これは初心者の方が最も陥りやすいトラブルの一つですので、作業を開始する前に拡張子をしっかり確認する癖をつけてください。
また、操作対象となるファイル(データを読み取る側など)については、必ずしもxlsmである必要はありません。標準的なxlsx形式や、CSVファイル、あるいは古い形式のxlsファイルであっても、VBAからアクセスして情報を取得したり書き込んだりすることが可能です。この「指示を出す側」と「操作される側」の役割分担を理解することが、システム設計の第一歩となります。
複数ファイル操作を成功させるコツ
複数のファイルを扱う際に推奨されるのが、関連するファイルを一つの「フォルダ」にまとめて管理することです。プログラムの中で「どの場所にある、どのファイルを開くか」を指定する際、ファイルがバラバラの場所にあるとコードが複雑になり、フォルダ構成が変わっただけで動かなくなる恐れがあります。ThisWorkbook.Pathという命令を使えば、マクロを実行しているファイルと同じ場所にあるファイルを簡単に指定できるため、環境が変わっても柔軟に対応できるマクロを作成できます。
実践的なサンプルコード
ここで、実際に「同じフォルダ内にある別のファイルを開いて、特定のセルの値を取得する」という、複数ファイル操作の基本となるVBAコードを紹介します。このコードを参考に、ご自身の環境に合わせてカスタマイズしてみてください。
Sub OpenTargetFile()
'変数の宣言
Dim targetFileName As String
Dim targetFilePath As String
Dim targetWB As Workbook
Dim targetValue As String
'操作したいファイル名を指定
targetFileName = "データ入力用.xlsx"
'このマクロブックと同じフォルダ内のパスを作成
targetFilePath = ThisWorkbook.Path & "\" & targetFileName
'ファイルが存在するか確認してから開く
If Dir(targetFilePath) <> "" Then
'対象のブックを開いてオブジェクト変数に格納
Set targetWB = Workbooks.Open(targetFilePath)
'開いたブックのシートから値を取得
targetValue = targetWB.Sheets(1).Range("A1").Value
'取得した値を自分のブックに表示
MsgBox "取得したデータは「" & targetValue & "」です。"
'開いたブックを保存せずに閉じる
targetWB.Close SaveChanges:=False
Else
MsgBox "指定したファイルが見つかりません:" & targetFileName
End If
End Sub
上記のコードを実行した際の動作イメージは以下の通りです。
(メッセージボックスが表示される)
取得したデータは「2026年度売上目標」です。
さらにステップアップするために
VBAでの複数ファイル操作に慣れてきたら、次は「Office Scripts」との違いや使い分けについても意識してみると良いでしょう。Excelのデスクトップ版で高度なファイル操作やローカル環境の制御を行うならVBAが最適ですが、Web版のExcelや自動化ツールのPower Automateと連携させる場合は、TypeScriptベースのOffice Scriptsが活躍します。
例えば、Office Scriptsで現在のシート名を取得してログに出力するような簡単なスクリプトは以下のようになります。
function main(workbook: ExcelScript.Workbook) {
// アクティブなシートを取得
let sheet = workbook.getActiveWorksheet();
// シート名をコンソールに表示
console.log(`現在のシート名は ${sheet.getName()} です。`);
}
このように、用途に合わせて適切なツールを選択できる知識を身につけることが、これからの業務自動化において非常に大切です。まずはVBAの基本である「保存形式の遵守」と「パスの管理」を完璧にマスターして、複雑な一括処理に挑戦していきましょう。
生徒
「先生、ありがとうございました!複数ファイルを扱うときは、まずマクロを書く本人が『xlsm』じゃないといけない理由がよくわかりました。以前、せっかく書いたコードを消しちゃったのは『xlsx』で保存してたからなんですね……。」
先生
「その通りです。それは誰もが一度は通る道ですよ。でも、その失敗のおかげで拡張子の重要性が身に染みたはずです。操作される側のファイルは普通の形式でも大丈夫、という点もポイントでしたね。」
生徒
「はい!あと、サンプルコードに出てきた『ThisWorkbook.Path』がすごく便利そうだと思いました。これを使えば、他の人のパソコンにフォルダごとコピーしても、そのまま動くんですよね?」
先生
「素晴らしい!まさにその通りです。プログラムの中に『C:\Users\名前\Desktop...』のように直接場所を書いてしまうと、他の人のパソコンでは動かなくなってしまいます。相対的な位置関係でファイルを指定するのが、メンテナンスしやすいマクロを作るコツなんです。」
生徒
「なるほど。互換性についても、あまり難しく考えすぎずに、標準的な命令を組み合わせて使っていけば、バージョンが違うExcelを使っている同僚にも安心してマクロを渡せそうです。」
先生
「そうですね。まずは同じフォルダにまとめる、正しい形式で保存する、という基本をしっかり守って、自動化の第一歩を踏み出しましょう。次は、実際にたくさんのファイルをループ処理で順番に開く方法に挑戦してみましょうか!」
生徒
「はい、ぜひお願いします!一気に仕事が楽になりそうでワクワクします!」