カテゴリ: Excel VBA 更新日: 2026/01/21

巨大化したVBAプロジェクトを整理する方法!分割・集約・命名改善の実例付き

巨大化したVBAプロジェクトを整理する方法!分割・集約・命名改善の実例付き
巨大化したVBAプロジェクトを整理する方法!分割・集約・命名改善の実例付き

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、最初は少しだったマクロのコードが、機能を追加していくうちに数千行になってしまいました……。どこに何を書いたか分からなくて修正が怖いです。」

先生

「それはプログラムが『巨大化』してしまった状態ですね。今のままでは、まるで迷路の中で探し物をするような労力がかかってしまいます。」

生徒

「どうすれば、すっきり整理して、また楽に修正できるようになりますか?」

先生

「『分割』『集約』『命名改善』という3つのステップが効果的です。実例を交えながら、誰が見ても分かりやすいプロジェクト構成の作り方を解説しますね!」

1. なぜVBAプロジェクトは「巨大化」するのか?

1. なぜVBAプロジェクトは「巨大化」するのか?
1. なぜVBAプロジェクトは「巨大化」するのか?

Excel VBAで自動化ツールを作っていると、最初は小さな「自動計算」から始まり、次第に「印刷機能」「メール送信」「ファイル保存」と機能が追加されていきます。これを一箇所(一つの標準モジュール)に書き続けると、コードはどんどん長く、複雑になっていきます。これがプロジェクトの巨大化です。

巨大化したプロジェクトは、専門用語で「スパゲッティコード」と呼ばれる状態になりやすく、どこかを直すと別の場所が壊れるといったトラブルを引き起こします。パソコンに詳しくない方でも、クローゼットに服を詰め込みすぎて、何があるか分からず、奥の服を取り出そうとすると全部崩れてくる……という状況を想像すれば、その怖さが分かるはずです。

2. ステップ1:役割ごとにモジュールを「分割」する

2. ステップ1:役割ごとにモジュールを「分割」する
2. ステップ1:役割ごとにモジュールを「分割」する

整理整頓の第一歩は「仕分け」です。VBAでは、標準モジュールを複数作成し、役割ごとにコードを移動させます。これを「モジュール分割」と言います。

例えば、一つの「Module1」に全部入っているなら、以下のように目的別の名前にして部屋を分けてみましょう。

  • mdl_Main:全体の流れを指示するリーダーの部屋
  • mdl_Import:データを取り込むための作業部屋
  • mdl_Logic:計算や判定を行うための思考の部屋
  • mdl_Common:色々な場所で使い回す便利な道具箱の部屋

このように分けることで、もし「データの取り込みがうまくいかない」という問題が起きても、探すべき場所は「mdl_Import」だけで済みます。探し物の時間が劇的に短縮されます。

3. ステップ2:バラバラな処理を一つに「集約」する

3. ステップ2:バラバラな処理を一つに「集約」する
3. ステップ2:バラバラな処理を一つに「集約」する

分割の次は「集約」です。巨大化したプロジェクトをよく見ると、似たような計算や処理を、あちこちで何度も書いていることがあります。これを一つにまとめるのが集約のテクニックです。

例えば、消費税の計算をコードの中で何度も直接書いていると、税率が変わった時に全部を書き直さなければなりません。これをプロシージャ(ひとまとめの処理)として一箇所に集約し、それを呼び出す形に変更します。


' 集約前:あちこちに直接書いてある状態
' price = value * 1.1

' 集約後:共通の道具箱(mdl_Common)に一つだけ書く
Function GetTaxPrice(price As Long) As Long
    ' 税率を変えるときもここを直すだけで全部に反映される
    GetTaxPrice = price * 1.1
End Function

このように、「同じことを二度書かない(DRY原則)」を意識するだけで、プロジェクトの行数は驚くほどスッキリします。

4. ステップ3:一目でわかる「命名改善」の実例

4. ステップ3:一目でわかる「命名改善」の実例
4. ステップ3:一目でわかる「命名改善」の実例

プロジェクトの構成を整理する上で、名前の付け方は命です。初期設定の「Module1」や「Sub Macro1」という名前は、内容が全く分かりません。これを「命名改善」することで、プログラムが「読める文章」に変わります。

パソコンのフォルダ分けと同じで、名前を見ただけで「何が入っているか」が分かるようにしましょう。以下の改善例を見てください。

悪い例(何をするか不明) 良い例(一目でわかる)
Sub Syori1() Sub CreateMonthlyReport()
Dim a As Integer Dim rowCount As Integer
Module1 mdl_DatabaseConnection

5. プロジェクトの「心臓部」と「末端」を分ける

5. プロジェクトの「心臓部」と「末端」を分ける
5. プロジェクトの「心臓部」と「末端」を分ける

整理のコツとして、全体の指揮を執る「メイン処理」と、細かい計算などを行う「サブ処理」を明確に分けることも重要です。これを階層構造と呼びます。

メインのコード(mdl_Main)を読み、何かの作業が必要な時に、別のモジュール(mdl_Logicなど)にある命令を呼び出すように作ります。これにより、「物語のあらすじ」と「登場人物の詳細設定」を分けるように、全体像を把握しやすくなります。


' mdl_Main:物語のあらすじ
Sub ExecuteAll()
    ' 1. データを用意する(別の部屋に任せる)
    Call PrepareData
    
    ' 2. 計算する(別の部屋に任せる)
    Call CalculateProfit
    
    ' 3. 結果を報告する
    MsgBox "処理が完了しました。"
End Sub

6. 定数(Const)を活用して「設定」を一箇所にまとめる

6. 定数(Const)を活用して「設定」を一箇所にまとめる
6. 定数(Const)を活用して「設定」を一箇所にまとめる

巨大なマクロの中で、何度も登場する「ファイル保存先」や「特定のシート名」などの情報を、コードの中に直接書き込んでいませんか?これをマジックナンバーと呼び、管理を困難にする原因となります。

これらをプロジェクトの最初の方、あるいは設定専用のモジュールに定数(Const)として定義しましょう。これにより、設定変更が必要な時はその一行を書き換えるだけで、巨大なプロジェクト全体がその設定に従うようになります。


' mdl_Config:設定専用のモジュール
Public Const SAVE_PATH As String = "C:\Users\Desktop\Results\"
Public Const TARGET_SHEET As String = "売上データ"

' 使うときは名前を呼び出すだけ
Sub SaveFile()
    ' 保存場所を変えたくなっても、上の定数を直すだけ!
    ActiveWorkbook.SaveAs Filename:=SAVE_PATH & "Report.xlsx"
End Sub

7. 図解で見る!整理されたプロジェクト構成

7. 図解で見る!整理されたプロジェクト構成
7. 図解で見る!整理されたプロジェクト構成

整理されたVBAプロジェクトは、視覚的にも美しいものです。VBE(開発環境)の左側にあるプロジェクトエクスプローラーが、以下のように整頓されている状態を目指しましょう。

このように整理されていると、数ヶ月後にマクロを修正しようとした自分や、引き継いだ後任の担当者が「なんて親切な設計なんだ!」と感動すること間違いなしです。モジュール管理は、プログラムの品質を保証する土台なのです。

8. コードの「重なり」を解消するリファクタリング

8. コードの「重なり」を解消するリファクタリング
8. コードの「重なり」を解消するリファクタリング

整理整頓のプロセスで欠かせないのが、リファクタリングです。これは、プログラムの動きは変えずに、内部の構造を綺麗に書き換える作業を指します。巨大化したコードを読み返すと、「この10行の処理、実はこっちの5行で代用できるな」という発見が必ずあります。

特に、Excelの SelectActivate といった、画面を動かす命令を多用しているとコードが長くなりがちです。これらを整理して直接セルを操作する書き方に変えるだけで、コードは短くなり、さらに実行速度も向上します。整理は、見た目だけでなく性能も良くしてくれるのです。

9. 整理後の実行結果とメリットを確認しよう

9. 整理後の実行結果とメリットを確認しよう
9. 整理後の実行結果とメリットを確認しよう

プロジェクトを整理した後の変化を、実際の運用シーンで想像してみましょう。整理前と後では、マクロの扱いやすさが天と地ほど変わります。


【巨大化したままの状態(整理前)】
・1つのモジュールに3000行ある
・エラーが出ても、どこが原因か探すのに30分かかる
・設定を一つ変えるのに、検索機能を駆使して10箇所を書き換える

【整理・構成を整えた状態(整理後)】
・各モジュールは200行程度で読みやすい
・エラーが起きれば、役割別のモジュールですぐに特定できる
・設定モジュールの一行を変えるだけで、全ての設定が同期する

プログラム未経験の方にとって、整理整頓は少し面倒に感じるかもしれません。しかし、長期運用に耐えるプロジェクト構成を作ることは、将来の自分への最大のプレゼントになります。まずは「モジュールの名前を変える」という小さな一歩から、巨大化したプロジェクトの救出を始めてみてくださいね!

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