カテゴリ: Excel VBA 更新日: 2026/01/28

大規模VBAプロジェクトを運用する際のバックアップ・バージョン管理方法

大規模VBAプロジェクトを運用する際のバックアップ・バージョン管理方法
大規模VBAプロジェクトを運用する際のバックアップ・バージョン管理方法

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、最近作成しているVBAのプログラムがすごく大きくなってきました。もしファイルを壊してしまったらと思うと怖くて夜も眠れません…。」

先生

「その気持ち、よくわかりますよ。プログラムが大規模になるほど、一つのミスが全体に響きますからね。でも大丈夫、『バックアップ』と『バージョン管理』という守りの技術を学べば安心ですよ。」

生徒

「バージョン管理?バックアップとは違うんですか?」

先生

「いいところに気づきましたね!バックアップは『複製』、バージョン管理は『歴史の記録』です。初心者の方でも今日から実践できる方法を教えますね!」

1. 大規模VBAプロジェクトにおける管理の重要性

1. 大規模VBAプロジェクトにおける管理の重要性
1. 大規模VBAプロジェクトにおける管理の重要性

Excel VBAでたくさんの機能を詰め込んだ大規模プロジェクトを運用するとき、最も避けたいのが「昨日まで動いていたのに、今日修正したら動かなくなった。しかも、どこを直したか覚えていない!」という事態です。パソコン操作に慣れていない方にとって、これは悪夢のような出来事でしょう。

プログラムは、たった一文字の打ち間違いで動かなくなるほど繊細です。そのため、変更を加える前に「今の状態」を保存しておくバックアップと、いつ・誰が・どこを変えたのかを記録するバージョン管理が不可欠になります。これらを正しく行うことで、万が一のトラブル時にも、ボタン一つ(あるいは数分の作業)で正常だった状態に戻すことができるようになります。

2. バックアップの基本:世代管理と命名規則

2. バックアップの基本:世代管理と命名規則
2. バックアップの基本:世代管理と命名規則

バックアップとは、ファイルを別の場所にコピーして保存しておくことです。しかし、単に「コピー」と名前を付けるだけでは、どれが最新か分からなくなります。そこで、世代管理という考え方を取り入れましょう。

おすすめは、ファイル名に「日付」と「バージョン番号」を入れる方法です。これを決まったルール(命名規則)で行うことで、誰が見ても一目で歴史がわかるようになります。例えば、以下のようなファイル名の付け方です。

  • 集計システム_20241101_v01.xlsm
  • 集計システム_20241101_v02.xlsm(同じ日の2回目の修正)
  • 集計システム_20241102_v03.xlsm

このように保存しておけば、「一昨日の状態に戻したい」と思ったときに、迷わず過去のファイルを開くことができます。大規模な運用では、この「古いファイルを捨てずに取っておく」勇気が大切です。

3. 手動でバックアップを取るコードを自作する

3. 手動でバックアップを取るコードを自作する
3. 手動でバックアップを取るコードを自作する

毎回手動で「名前を付けて保存」をするのは面倒ですし、忘れてしまうこともあります。それなら、ボタン一つでバックアップ専用フォルダにコピーを作成するマクロを作ってしまいましょう。これがVBAの面白いところです。


' 現在のファイルを日付付きでバックアップ保存するマクロ
Sub SaveBackup()
    Dim backupFolder As String
    Dim fileName As String
    Dim timestamp As String
    
    ' バックアップを保存するフォルダの場所(自分の環境に合わせて変えてね)
    backupFolder = ThisWorkbook.Path & "\Backup\"
    
    ' フォルダがなければ作成する
    If Dir(backupFolder, vbDirectory) = "" Then
        MkDir backupFolder
    End If
    
    ' 現在の日時を「20241101_1230」のような形式で取得
    timestamp = Format(Now, "yyyymmdd_hhnn")
    fileName = backupFolder & "Backup_" & timestamp & "_" & ThisWorkbook.Name
    
    ' ファイルをコピーして保存
    ThisWorkbook.SaveCopyAs fileName
    
    MsgBox "バックアップを保存しました!" & vbCrLf & fileName
End Sub

このマクロを実行するだけで、指定したフォルダに日時のついた複製が自動で作られます。作業の区切りでこのマクロを動かす癖をつけるだけで、安全性が劇的に向上します。

4. モジュール単位でのエクスポート管理

4. モジュール単位でのエクスポート管理
4. モジュール単位でのエクスポート管理

Excelファイル(ブック)丸ごとのバックアップも大切ですが、大規模プロジェクトではモジュール(プログラムを書き込んでいる部品)単位での管理がさらに効果的です。Excelブックはバイナリ形式という「中身が直接読めない形式」ですが、モジュールを「.bas」や「.cls」というファイルとして書き出しておけば、メモ帳などで中身を確認できるようになります。

これをエクスポートと呼びます。大事な機能を書き換える前に、そのモジュールだけを右クリックしてエクスポートしておけば、もし修正に失敗してもその部品だけを「インポート(取り込み)」して元に戻せます。ブック全体を戻すよりも影響範囲が狭いため、大規模開発では頻繁に使われる手法です。

5. 修正履歴をコード内に残す「変更ログ」の書き方

5. 修正履歴をコード内に残す「変更ログ」の書き方
5. 修正履歴をコード内に残す「変更ログ」の書き方

バージョン管理の第一歩は、プログラムの中に「メモ」を残すことです。これをコメントと呼びます。大規模なプロジェクトでは、モジュールの先頭に「誰がいつ何のために直したか」を記述する習慣をつけましょう。


' ======================================================
' プログラム名:売上集計システム
' 変更履歴:
' 2024/11/01 v1.0 新規作成(田中)
' 2024/11/05 v1.1 消費税率計算の不具合を修正(鈴木)
' 2024/11/10 v1.2 CSV出力機能を追加(田中)
' ======================================================

Sub MainProcess()
    ' ここにメインの処理を書く
End Sub

このように書いておけば、数ヶ月後に他の人がコードを見たとき、あるいは自分が忘れたときに「なぜここがこうなっているのか」という経緯をすぐに理解できます。これは、チームで開発するときには絶対に必要なマナーのようなものです。

6. 自動バックアップ機能の実装

6. 自動バックアップ機能の実装
6. 自動バックアップ機能の実装

さらに安全性を高めるために、Excelを閉じるたびに自動でバックアップを取るように設定することも可能です。これは「イベント」という機能を使います。


' ThisWorkbookモジュールに記述する
' ブックを閉じる直前に自動で実行される
Private Sub Workbook_BeforeClose(Cancel As Boolean)
    ' 念のため保存されているか確認
    If ThisWorkbook.Saved = False Then
        If MsgBox("保存せずに閉じようとしています。バックアップを取りますか?", vbYesNo) = vbYes Then
            Call SaveBackup ' さっき作ったバックアップマクロを呼び出す
        End If
    End If
End Sub

このように、システムが自動で守ってくれる仕組みを構築するのが、プロジェクト構成の賢いやり方です。人間は忘れる生き物ですから、機械に任せられる部分は任せてしまいましょう。

7. Git(ギット)などの外部ツールの検討

7. Git(ギット)などの外部ツールの検討
7. Git(ギット)などの外部ツールの検討

もし、さらに本格的な運用を目指すなら、世の中のプログラマーが使っているGit(ギット)というツールがあります。これは「バージョン管理」の専用ソフトです。Excel VBAで直接使うには少しコツ(モジュールを自動で外に書き出す設定など)が必要ですが、大規模なプロジェクトを数人で開発する場合には、最終的な到達点となります。

最初は「日付付きファイル保存」から始め、慣れてきたら「モジュールのエクスポート」、そして最後に「外部ツールの活用」へとステップアップしていけば良いのです。最初から難しいことをしようとせず、自分ができる範囲の「守り」を固めていきましょう。

8. 開発用と本番用のファイルを分ける運用

8. 開発用と本番用のファイルを分ける運用
8. 開発用と本番用のファイルを分ける運用

大規模プロジェクトの運用で最も大切なルールは、「ユーザーが使っている本番ファイルを直接直さない」ということです。必ず「開発用」のコピーを作り、そこで十分にテストを行ってから、完成したものを「本番用」として置き換える、という手順(デプロイと呼びます)を踏みます。

本番ファイルを直接触って壊してしまうと、業務が止まってしまいます。以下の手順を徹底しましょう。

  1. 本番ファイル(v1.0)のコピーを作る。
  2. コピーを「開発用」として修正を加え、テストする。
  3. OKなら、開発用を「v1.1」として本番環境へ配置する。
  4. 古いv1.0は「Old」フォルダへ移動して保管する。

この流れを守るだけで、運用トラブルの8割以上は防ぐことができます。手間はかかりますが、これこそが「プロの仕事」を支えるプロジェクト構成の考え方です。

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